小学生、中学生の半ば頃まで、家にほとんど娯楽が無く、小説をよく読んでいた。図書館で借りるか、ブックオフで探して読んでいた。小学生の頃は子供向けのコーナーでシリーズものをよく読んでいたと思う。今思うと、児童書は年齢ごとに適した面白いシリーズがたくさんあって飽きなかった。(当時読んでた児童書は、思い出せたらまた別で書こうと思う。)その後、パソコンを買ったのをきっかけに、全く本を読まなくなってしまい、10年くらいほとんど読まない生活を送っていた。
それが、ここ数年で小説を読む習慣が戻った。きっかけはXで(今でもTwitterと書きたくなる)おすすめのSF小説一覧のポストを見たとき。何が載っていたか全部は覚えてないが、少なくともプロジェクトヘイルメアリーと三体が載っていた。久しぶりに小説を読んでみてもいい気がして、Kindleでプロジェクトヘイルメアリーを買ってみた。最初はなかなか進まなくて、少し読んでは辞めて、少し読んでは辞めてを繰り返していたんだけど、読んでるうちに内容が面白くなってきて、かつ小説の読み方を思い出して、すらすら読めるようになってきた。
その後、三体を買ってみた。1巻の第一部は文化大革命の話で、読むのが辛いパートだと言われている。後がきにも飛ばしてもいいと書いてある。僕は歴史に疎いので、なかなか読むのに時間がかかり、これは先に進めるだろうかと少し不安になった。それでも読み進めて、書いてある内容がどこまで本当なのか気になって紅衛兵についてググった時、初めて歴史上本当にあった出来事だと知った。(もしかしたら小説中にもそう書いてあったかも?でも実感が湧いたのはWikipediaの記事の存在を見た時だった。)その後の展開はあまりに面白くて一気に最後まで読んでしまった。三体は間違いなくこれまで人生で読んできた・見てきたフィクションの中で一番面白い。これをきっかけにだいぶ宇宙に興味が湧いて、いろんな宇宙モノのSFを読み始めた。
まずは劉慈欣の小説を全部読んだ。短編も本当に面白い。ネタバレをするには惜しすぎるので、ぜひ読んでみてください。その後、三体Xの作者の宝樹の短編集も読んだ。多分全部読んだ気がする。(もちろん三体Xも読んだ。)中国の小説自体読むのが初めてだったけど、独特の中国らしさがいろんなところに散らばっていて新鮮だった。
その後、昔好きだった上橋菜穂子の小説を読み始めた。精霊の守り人のシリーズが本当に大好きで、昔から何度も通して読み直している。どれも好きなんだけど、闇の守り人が一番のお気に入り。どの巻だったか忘れてしまったけど、バルサのセリフで「眠れない時は目を瞑って横になっているだけでも体の疲れが取れるんだ」、って感じのセリフをいつまでも覚えてる。今でも緊張とかで寝れない夜に思い出す。
上橋菜穂子を読むあら、せっかくだから読んでないやつにしようと思って、獣の奏者のシリーズを読んだ。その後、鹿の王も読んだ。どちらも面白かったんだけど、慌てて読みすぎたのか、今思い返そうとしても薄っすらとしか話が思い出せないので、また今度読み直そうと思う。上橋菜穂子の小説は、本当に世界観がよくできていて、読んでてその世界は当たり前にあるかのように思える。他の小説を読んでて気がついたんだけど、あそこまで破綻なく世界が広がっているのは本当にすごい。
順番は前後しているかもしれないが、華竜の宮シリーズも読んだ。こっちは海SFで、また違うジャンルで面白かった。その後、星を継ぐ者シリーズも読んだ。このシリーズはちょっと堅苦しいというか、研究の話が多くてうんざりすることがあるので休憩中。小説を読む時くらい、研究のことは忘れたい。
ダヴィンチコードは昔からのお気に入りで、また読み直した。宗教に関わることがほとんどないので、自分の宗教観はダンブラウンから得ていたと言っても過言ではないと思う。ロストシンボルも読んだ。こっちはSFチックな内容だったけど、ダンブラウンは宗教の話の方が面白いかなと思った。今Kindleのライブラリを見たら、インフェルノを買ったのに読むのを忘れていた。宗教テーマっぽいので読んでみようと思う。
それから昔からのお気に入りというと、新世界よりも外せない。初めて読んだのは多分中学生の時だったと思うんだけど、あの当時は内容を理解できなかったが、衝撃を受けたのは覚えている。その後も何年かおきに読み直していて、だいぶお気に入り。今考えても中学生で読むには刺激が強い。だけど面白い。最近読み直した時に、SFとして紹介されていたのを見て、確かにこれも一形態だわと思った。独自のSFだと思う。
図書館に通っていた時、あらかた読みたい児童書を読んでしまい、初めて大人のゾーンに入った時のドキドキは今でも覚えている。いわゆる、ヤングアダルトのジャンルの本棚も、児童書のコーナーの外にあって、大人のゾーンに入る必要があった。あの時は何を読んだだろうか、ヤングアダルトのジャンルも読んだと思うんだけど、あまり思い出せない。その後の普通の小説を読み始めた時のことの方がよく覚えている。その時に読んだのがたぶん、新世界よりだった。
自分は背表紙のデザインでよく本を選んでいた。背表紙がおしゃれな本は、表紙もおしゃれで、かつ内容も面白いことが多かった。図書館にはAmazonのようにレコメンド機能はないから、作者でたどるか背表紙で選んでいた。山田悠介の小説は突飛なデザインで、派手な単色一色とかだから、図書館の本棚に並んでいるととても目立っていた。そして刺激の強いものを読んでみたい年頃にはちょうどいい本だった。
好きな小説に話を戻ると、いしいしんじの小説も大好き。まるで童話のような、でもじっと染み込んでくるような内容の文体。特にぶらんこ乗りが昔から大好きで、また読み直したらまた泣いた。そうか、ここでいつも泣いちゃうんだよね、って、その場所を読んだときに思い出した。意外なことに電子版が出てなくて、Amazonで中古を注文した。まだ電子化されていない本もたくさんあるとは聞いてたけど、実際に見つけられなかったのは初めてだった。プラネタリウムのふたごも読んだけどいい話だった。こっちは電子版があった。
今は伊坂幸太郎を読んでいる。オーデュボンの祈りと死神シリーズを読んだことがあるんだけど、どっちもだいぶ好き。今はグラスホッパーから始まる殺し屋シリーズを読んでる。面白い。伊坂幸太郎の小説の、独特のリズムというか雰囲気は、この人の小説からしか得ることができない。何かはわからないけど、そのリズムは自分の根底にある気がする。
ここ数年、いつでも研究はやることがあって、脳みそが常に疲れている。でもいくら研究で頭が疲れていても、小説を読む時は脳みその別の部分を使っているのか、いつでも読める。昔からの習慣の賜物なのかもしれない。小説のいいところは、漫画よりも安くて、ドラマや映画よりも自分のペースで進められることだ。そして何よりも、まだまだ読みたい小説がたくさんある。しばらくは小説を楽しんで生活できる。